「銀ちゃん」
「んあー?」
「仕事してくださーい」


バサ、と音をたてて置かれる報告書の山。
その量の多さに俺は思わず眉をしかめた。だが、運悪くそれを
こいつに見られていたらしい。わざとらしく溜め息をつくと、
椅子に凭れ掛かっている俺を見据えて静かに一言だけ言い放った。



「今日中に片付けたら、明日パフェ奢ってあげますよ?」



俺がその言葉に反応しないはずがないという確信があるからこその言葉だろう。
こいつは俺の扱い方ってのを心得てやがる。



まったく、恐ろしい女だぜ。
まぁ、そーゆーとこも好きなんだけどね。実はゆーと。


















「とーっしポンv」
「・・・また来たのか、お前」
「うんっ!!」



最近、妙な女が屯所を出入りしている。
どうやら千尋の妹らしい。(千尋ってのは最近入隊した隊士だ)
どういうことか総悟にも近藤さんにも気に入られたみたいで、暇さえ
あれば常にここへ遊びにくるようになった。


「お兄ちゃんはぁー?」
「さっき総悟と巡回にいった。しばらく帰ってこねぇぞ」
「ふーーん。で、としポンは何してるの?」
「いろいろ」
「そーなの?・・・じゃあ私山崎さんとミントンしてこよっと!!」
「あんまはしゃぎすぎるなよ」
「はぁーい」


にゃははは、と笑いながら山崎の所へ駆けていくあいつの背中を見つめた。
あいつがここへ来るようになってこの屯所の雰囲気がまた少し変わった気がするのは
きっと気のせいなんかじゃない。


「やまざきさーーんミントンやろー!!」
「え、あぁ、はい!!」
「あ、いいな!!ねぇ俺も是非まぜてよ!!」
「局長は今から会議でしょ!!」
「じゃあ駄目だね。残念!!」
「えぇーーーー」


わるくねぇと思う。

















「ヅラさん」
「ヅラじゃない。カツラだ」
「ヅラじゃないですか」
「違う。桂なんだ」
「漢字変換されてますよ」



銀時に何を吹き込まれたのかは知らんが、最近この子まで俺のことを
ヅラだのカツラだのと言ってくる。何度も言うが、俺は桂だ。ヅラじゃない。


「まぁ、いいじゃないですか、どっちでも。桂さんは桂さんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
「ヅラでもカツラでも桂さんは桂さんってこと。目に見えるもの全てが真実って
わけじゃないんだし♪」
「・・・・・・そうだな・・・・・・・・・ん?」



その言葉はどういう意味だ?と口を開こうとした瞬間に、この子は大声をだして
笑い出した。ほんの一瞬だけ、驚いた。こんなふうに大声だして笑ったりもするんだな、と。
出会って間もないこともあるが、俺の知らない彼女の一面。


「・・・・・・・・・」
「??どうしたの?桂さん」
「・・・いや、なんでもない」
「・・・ふぅん」


この子のことを、もっと知ってみたいと思った。




















月が似合う女だと思う。
満月が照らす光のように優しく微笑むんだ、こいつは。



「高杉さーんっ!!もぉーーこんな夜中に呼び出して。一体何の用ですかーー??」
「あいにきたんだよ」
「はい?」


さすがの俺にも疲れる時だってある
元気、もらいてぇときだってあるんだ


だから、どうしても


「おまえに、あいたくてなぁ」


「・・・そうですか!!へへへっ・・・嬉しいなぁ」


愛しいお前の笑顔がみたかった、なんては






死んでもいわねぇが



〜07//02/05
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